雨の音は嫌いだ。 ただ、それだけで死にそうになる。 玄関で靴をはいて、扉を開けた途端に溜息がこぼれた。 空は、限りなく黒に近い灰色で、雨が途切れそうな気配もない。 傘をさして歩きながら、朝から疼き出した腹部に手を当てた。 いっそ子宮から全身バラバラになってしまえばいいのに。 そんな事を考えると、傘も何もかも放り出して、雨の音に耳を塞ぎたい気持ちになった。 どんなに胎が疼いても、今はもう、保健室に行けない。 その事を確認する度、子供のような不安が込み上げてくる。 ―――雨音よりも、憂鬱で。 ただ、それだけで死にたくなる。 |